UCの治療方法 その3
- 2018.08.26
- UCについて

血球成分除去療法
体外循環治療法と呼ばれる治療方法の一つで、いわゆる透析治療の事です。
UCの炎症には、活性化した白血球が悪影響を及ぼしていると考えられています。この治療は、活性化した白血球を取り除く事により、炎症を落ち着かせる事を目的としています。
この治療は、2種類の方法があります。LCAPと呼ばれる白血球(顆粒球、単球、リンパ球)、そ≫して血小板を取り除く方法とGCAPと呼ばれる白血球の中でも顆粒球および単球のみを選択的に除去する方法です。
通常、治療を行う際には、左右の腕に太目の針を刺します。片方の腕から血液を取り出し、フィルタもしくはビーズの入った装置を通ってもう片方の腕に戻ります。
治療開始前に問診や体重測定を行い、点滴が落とされている状況であれば袋の重さを測ります。体内から出て行った血液が最終的に戻ってくるため、マイナスになる事はありませんが、重さを確認しておく事で治療中に異常がないかを確認するための一つの指標になっているようです。
1回の活動期あたり、1クールで上記の治療を5回行います。1クール目の結果を見つつ、最大で2クールまで行うことができます。
私の場合は、中心静脈カテーテルを挿入するタイミングでこの治療を始める事になったため、バスキャスカテーテルという点滴用・血液INおよびOUTの3つのポートを持つカテーテルを用いる事になりました。これにより、両腕に針を刺すのではなくカテーテルのポートを用いて行うことができました。
最終的に7クールほどでこの治療を終えたのですが、症状が改善する事はありませんでした。
手術
UCは、これまで説明したように幅広い内科的治療法があります。しかしながら、症状が改善できないケースも少なからず存在します。
発症してからの年数に比例して、手術が適用となる症例は多くなるようです。
引用:潰瘍性大腸炎の経過
私もちょうど診断確定から10年で手術を経験する事になりました。
以下の状態の場合、手術適応となります。
no | 状態 |
---|---|
1 | 大量出血がある |
2 | 中毒性巨大結腸症 |
3 | 穿孔 |
4 | 癌化またはその疑いがある |
5 | 内科的治療に反応しない |
6 | 副作用のためステロイド等を使用できない |
IRA(ileorectal anastomosis:回腸直腸吻合術)
大腸のなかでも「上行結腸」「横行結腸」「下行結腸」「S状結腸」を切除して、直腸のみを残し小腸末端を直腸と繋ぐ術式です。
直腸を残す事になるため、排便コントロールに関しては、術前と比較しても悪化する可能性が低いようです。ただし、直腸に炎症が発生した場合には、再度別の方法で手術を行う事になる可能性を残すため、現在ではあまり実施されていないようです。
IACA(ileoanal canal anastomosis:回腸嚢肛門管吻合術)
大腸をすべて切除して、小腸でJ型のポーチを造設して直腸肛門菅と繋ぐ術式です。IRAでは、直腸を丸ごと残しますが、IACAの場合は肛門に近い2㎝程度の粘膜のみを残します。
こちらも直腸を一部残すことになるため、残存部位の再燃や癌化のリスクは残る事になります。しかしながら、排便コントロールに関しても良好な状態を維持する事ができるようです。
通常は、1回で手術は完了します。しかしながら、術前状態がとても悪かったため、この術式を2回に分けて受けることになるのでした。
IAA( ileoanal anastomosis:回腸嚢肛門吻合術)
大腸のすべてを全部摘出します。IACAのようにJ型のポーチを造設しますが、肛門管ではなく肛門に接続します。そのため、排便コントロールに関しては、IACAよりも劣るようです。ただし、術後の日数や慣れで改善するというデータもあるようです。
術式は、2回に分けて行われます。
1回目に大腸全摘出を行いJポーチを造設して肛門と接続するのですが、小腸の途中でストーマ(人工肛門)を造設する事になります。ストーマを造設すると、排便はここから行うことになるためパウチを貼って管理する必要があります。
1期目の手術から3ヶ月ほど経過した後に、人工肛門をクローズして術前のように排便は自然肛門から行うようになります。
永久人工肛門造設術
IRA,IACA,IAAを行った後、術後状況が悪化した際などに行われる術式です。ストーマを造設して自然肛門を閉じる事で排便はストーマから行うことになります。
なお、永久人工肛門の場合には、身体障害者手帳の申請を行う事ができます。
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